犬の寿命はどんどん延びていて20年近く生きる犬というのも珍しくないのが最近の傾向です。
というのも医学の発達やフードの最適化の充実など生活環境の整っている時代の賜物ではないでしょうか。
また、愛犬の長寿には飼い主さんの愛情も欠かせません。
どんなに医学が発達しても、どんなにペットフードの品質がよくなっても飼い主さんの愛情なくして愛犬の長寿はないと言っても言い過ぎではありません。
というのも、寿命が延びたという事は老化が遅くなったというワケではないからです。
今も昔も犬は老化します。これは止めようがありません。
ただ、老化が始まってから飼い主さんの愛情があるか無いかで愛犬の寿命というのは変わるはずです。
常に愛犬の状態に気を配っていれば何かあった時にすぐに病院へ連れていけますし、愛犬の老化に合わせた食事や環境の構築をしてあげる事で
愛犬が過ごしやすい状態にしてあげられます。
アナタの愛情なくして愛犬の長寿は成立しないんです。
老いていく愛犬に少しでも長生きしてもらうように、ここでは老犬の食事について詳しくご説明していきたいと思います。
犬の成長速度は人間の何倍?
犬の成長は小型犬で人間の4倍、大型犬なら7倍の速さです。
一般的に犬というのは大型になるほど寿命は短くなる傾向があって、外見の老化も大型の方が早く目立ちます。
反対に小型の場合は外見の老化も緩やかなので、自分の愛犬が老化しているという事を認識しにくいです。
もちろん人間に個人差があるように犬にも個体差があるので一概には断言はできない事でもあります。
それでも平均して7歳を過ぎてくると肉体的に活発さが減っていき10歳になると『老犬』というカテゴリーに入ると言われています。
愛犬の老化に敏感になろう!
老化というのは、ある日突然急激に始まるものではなく、ゆっくりと進みますし、確実に進行していきます。
外見の老いだけではなく内面の老いという体の機能も確実に衰えていきますので、その時その時の愛犬の状態に気を配ってあげる事が大切な事です。
老化といってもまだ元気な状態から寝たきりの状態まで段階があるので自分の愛犬が今どの状態なのかによって愛犬の生活のどのような事に注意するべきなのかが変わってきます。
老化のステージとしては大きく3つのステージに分類することができます。
①『元気な老犬』
②『飼い主さんのサポートが時々必要な支援犬』
③『自力行動が困難な要介護犬』
年を取るにつれて食事も若い時のままというワケにはいかなくなってきます。
老犬に必要な栄養素とは?
炭水化物、たんぱく質、脂質という3大栄養素の中で老犬が控えるべきなのが『脂質』です。
消化吸収が悪く、肥満になりやすい脂質は消化吸収器官が衰えている老犬には負担をかけてしまいます。
消化率や代謝率が低下いていく7歳頃をめどにフードの見直しをするようにしましょう。
シニアフードは脂質を抑えて消化吸収を良くする効果もありますし、老犬の健康維持や老化予防に欠かせない『ビタミン』『ミネラル』も十分な量が含まれているので安心して与える事ができます。
ただ、7歳というのは、あくまでも目安で同じ7歳でも個体差があるので必ずフードをシニア用に変えなくてはいけないというワケ「ではありません。
まだ元気で運動量のある犬の場合、急いでシニアフードに変えると反対に栄養不足になる可能性があるので、愛犬の状態を観察するという事はここでも大切になってくるんです。
フードの切り替えの見極めは運動量が以前より減ったり、疲れやすくなったと感じたら切り替え時でしょう。
また、老犬になるにつれて愛犬の食事に変化が現れるので、そのサインも見逃さないようにしましょう。
主なサインは以下に記します。
食が細くなった場合
7歳以上で大きな怪我もなく筋力の低下も見られない場合でも食は少しづつ細くなっていくものです。
食が細くなると、つい食べてほしくて愛犬が好むフードを探そうといろいろフードを変えてしまいがちです。
しかし犬というのは学習能力が高いので『食べなければ今よりおいしい物が出てくる』と学習します。
そうなると、今よりも好き嫌いが激しくなってしまいます。
食べないからと頻繁にフードを変えるという事は控えて普段はドライフードを与えている場合は少しウェットフードを混ぜるというのも有効なので工夫してみましょう。
老犬になり運動量が減ると必要とするカロリー量も減るので1度に食べるフードの量が減るという事もあります。
加齢が進むにつれて、若いころは1度で完食していた量も途中で食べるのをやめて、しばらくしてから再び食べるという事が見られるようになります。
頻繁に食べ残す場合は1度の量を減らして食事の回数を増やすようにしましょう。
量を減らして回数を増やすというのは飼い主さんの負担は増えるのですが、愛犬の食欲を観察しながら適切に食事をさせてあげて下さい。
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噛む力が弱くなった場合
自力で食事は出来るけれど加齢によって噛む力が低下していたり歯周病で歯茎に炎症が起きていると固いフードを食べる事が難しくなります。
普段はドライフードを与えているならウェットフードに切り替える方法も有効ですが、ドライフードに水を少し混ぜて軟らかくするだけで食べやすくなります。
この時厚いお湯でフードを軟らかくするとフードに含まれる栄養成分が壊れてしまう可能性があるので、水かぬるま湯で柔らかくするようにしましょう。
ドライフードを軟らかくすると歯垢が付きやすくなるので歯のケアには気を付けるようにしましょう。
そして、ドライフードは軟らかくなるのに時間がかかるので食事の時間よりも早めに水につけておくようにしましょう。
だいたい、ぬるま湯で10~15分程度で軟らかくなります。
さらにつぶすと言った工夫が必要な場合もあります。
一切食べられない場合
歯が抜け落ちていたり、あごの筋力が極端に弱っている状態になるとウェットフードすらも食べられなくなります。
こうなると流動食に切り替えて食事をさせる方法が一番です。
流動食は市販の物もありますが、手作りにする事も可能です。
ウェットフードやふやかしたドライフードをミキサーにかけたり、裏ごしする事で自作できます。
市販の流動食は少量のフードにとても高い栄養価が凝縮されているので与える量が少なくて済むというメリットがあります。
流動食はシリンジや哺乳瓶などの与えやすい容器を使って犬歯よりも奥に流し込んであげます。
食堂に詰まらないように、ゆっくりと与えてあげてください。
また、フードをきめ細かく潰す方が消化吸収がよくなります。
さいごに
基本的に犬は猫に比べて食欲旺盛と言われています。
若い犬の場合でも肥満にならないように食事に量をコントロールしてあげる事は大切なのですが老犬の場合は特に気を使ってあげましょう。
摂取カロリーや栄養素をキチンと把握して食事の全体量は変えずに回数を増やしてみるなどの工夫が必要です。
『医食同源』という言葉があるように食べる事は健康維持にとても重要な事なんです。
愛犬の状態に応じて必要なサポートをしながら食事の管理をしていきましょう。
そして食事にばかり気を取られないで水分の補給も忘れずに行ってください。