猫の妊娠や出産は猫にとっても一大ドラマです。
また猫の出産を望む飼い主さんにとっても気が気でない出来事ですよね?
けど、猫の妊娠から出産までを詳しく知っているという人は意外と少ないのではないでしょうか?
ここでは猫の妊娠と出産について一連の流れの中で詳しく解説していきたいと思います。
猫の妊娠の兆候は?
猫の妊娠期間は平均しておよそ63日間です。
猫は妊娠が成立すると交尾後3週間目くらいから食欲をなくしたり、吐いたりといった『つわり』の症状があらわれてきます。
交尾後30日程度で肉体的にも変化があらわれ始めて、よく観察しなければわからない部分なのですが乳首がピンク色に変わっていきます。
そして乳房も少し膨らんでお腹の膨らみも確認出来るようになってきます。
お腹はどんどん膨らんで食欲も増加していき体重も増えていきますが、出産直前は一転して食事を受け付けなくなります。
猫の妊娠経過 | |
交尾後日数 | 変化内容 |
約21日経過 | 食欲不振、嘔吐などの悪阻症状 |
約30日経過 | 腹部が膨らみはじめる |
約45日経過 | 食欲が回復し体重が増加していきます |
約50日経過 | 母猫は胎動を感じはじめます |
約63日目 | 出産直前で食事を受け付けなくなります |
妊娠したメス猫は母性愛がとても強い!
妊娠をして新しい命を宿したメス猫は母性で満たされ、いつもよりも穏やかでリラックスするので喧嘩っ早い猫でも殆ど喧嘩をしなくなります。
これにはしっかりとした理由があって、猫は妊娠するとプロゲステロンという妊娠を司るホルモンが分泌されメス猫の精神を安定させます。
この時期は母性本能がわいてくる時ですので私たち人間に対しても愛情が豊かになる事があるほどです。
そして妊娠した猫はあまり動かずにジッとしていたり横になっている事が多いと思いますが、これは来るべく出産の時に備えて必要なエネルギーを蓄えているからなんです。
そうやって猫は63日間を過ごし母になる時に備えています。
出産間近のメス猫の行動
メス猫は約63日間の妊娠生活が終盤に差し掛かると大きなお腹を抱えてソワソワとしはじめます。
落ち着き泣く歩き回るのですが、これは落ち着いて出産や育児に専念できる場所を探し始めているからなんです。
この時に猫が探している理想の場所は
人目につかず静かで暗い場所です。
室内飼いの猫でも普段は近寄らないような場所も調べて回るので室内が荒らされる事もありますが、そっとしといてあげましょう。
稀に室内飼いの猫が物置で出産していたという事もありますので、驚くような場所を出産場所に選ぶかもしれません。
■『甘えん坊猫は飼い主の側で出産する!?』
動物の本能としては普通は出産はいくら飼い主と言えども人間には見られたくないもののはずですが普段飼い主に強く依存している猫は出産する場所を飼い主の近くに選ぶ事もあります。
飼い主さんが気を利かせて最適な出産場所を作ってあげても結局飼い主さんの側で出産するというケースも珍しくはありません。
猫の出産は1匹につき30分かかる?
猫は出産が迫ると、その日は食事をせずに落ち着きがなくなりソワソワします。
そして陣痛が訪れると猫はお腹を収縮させ最初の子供を産みます。
子猫は羊膜に包まれた状態で生まれてくるので母猫は羊膜を破り子猫の鼻と口付近を丁寧に舐めて呼吸出来るようにしてあげます。
子猫の呼吸を確保すると次はへその緒を噛み切って胎盤を食べます。
胎盤を食べる理由は胎盤には栄養が含まれているので出産後しばらく狩りをしなくても良いように栄養を補給するんです。
その後、濡れている子猫の体を舐めて被毛を乾かします。
最初の出産から30分程度で次の子が生まれてくるという事を繰り返します。
子猫は1~8匹産まれてくる?
母猫のお腹の中に子猫が何匹いるのかは産まれてみないとわからないのですが、およそ1~8匹の場合が多く平均すると4匹程度産まれてきます。
中には10匹以上出産する猫もいるのですが、この場合猫のお乳は8個しかないので乳を飲めない子供が出てしまう問題があります。
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子猫を舐める事はとても重要!
母となった猫は、産まれてきた子供をしつこいくらいに舐めます。
舐めて子猫の体を綺麗にして乾かすというのも理由の1つなのですが、他にもとても重要な意味が隠されています。
母猫は子猫を舐める事で自分の子供だと認識するんです。
これは本当に重要な親子の最初のスキンシップなので、もしも母猫が子猫を舐める前に引き離されてしまう事があると母猫は自分の子供を認識する事が出来なくなってしまうんです。
猫の子育ては愛情たっぷり
無事に子供を産んだ母猫には子育てが待っていますが、この猫の子育てはとにかくマメの一言です。
子供が産まれたばかりの母猫はトイレと餌を食べる時意外は子猫の側を離れません。
しっぽで遊ばせたり、体を舐めたりと子煩悩なんです。
妊娠中に精神を落ち着かせるプロゲステロンが分泌されると書きましたが、このプロゲステロンは子育て中の母猫に攻撃性も与えます。
子育て中の母猫は侵入者に対しては全て敵とみなして威嚇し攻撃し子供の安全を確保する為に本気で闘います。
例え侵入者が力の強いオス猫でも子育て中の母猫の気迫には勝てません。
子育て中は何度も“引っ越す”
母猫は育児中に頻繁に引っ越しを繰り返します。
2~3日に一度くらいの頻度でタンスの裏や押入の中など寝床を変えるのですが、引っ越しを繰り返す理由は野生の猫は出産時に血液などが付着した場所に留まっていると外敵にニオイを嗅ぎつけられて襲われてしまう危険性があるからです。
ペットとして飼われている猫もこの本能が残っているので引っ越しを繰り返します。
引っ越しは強い子供から運ぶ?
出産直後の頻繁な引っ越しが外敵から逃れる為の行為だと言う事は書きましたが、出産から1ヶ月ほど経過した頃にも引っ越しをする事があります。
この時期の引っ越しは外敵から逃れる目的ではなくエサ場に近い場所に所帯を移す目的がメインです。
この引っ越しは子猫がまだ歩くのが上手くない場合は親猫が一匹ずつ咥えて運ぶんですが、この時に母猫は子どもたちの中から一番元気な子どもから連れて行きます。
これは一匹ずつ運んでいる間に巣が敵に襲撃された時の事を考えての行動なんです。
もしも親猫が不在の巣が襲われた時に一番元気な強い子供を先に運んでおく事で強い遺伝子を残そうという本能が働いているからです。
残酷なようですが、命を未来に確実に繋いでいくという猫の本能なんです。
ところで母猫は子供を全員運び終わった後に空っぽになった巣へ一度戻ります。
猫は子供が何匹いるのか数えられないので取り残された子供がいないか確認しに戻るんです。
何もない巣を見て『全員運び終わってる』と確信して引っ越し完了となるんです。
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猫も想像妊娠する!?
想像妊娠というのは実際には妊娠していないのに妊娠した時のような体の変化が表れてくる状態を言います。
この想像妊娠、猫にも起こるんです。
交尾をしたのに受精する事が出来なかった不妊交尾の後に、まるで妊娠したかのように実際にお腹が大きく膨らみ、更に乳腺も張ってきます。
中には陣痛まで起こる事もあるのですが、想像妊娠ですから当然出産にはなりません。
この時メス猫はすっかり親気分になっているので側にあるぬいぐるみを子猫に見立てて世話をしたりしますが、忘れっぽい猫はお腹が萎むとスッカリ忘れてしまうんです。
想像妊娠と似ているのですが『擬妊娠』というものも猫には起こります。
擬妊娠は、そもそも交尾をしていないのに妊娠の兆候があらわれる事を言います。
原因はホルモンのバランスが崩れてしまう事です。
猫は発情期になると卵巣から黄体ホルモンが分泌されるのですが通常は妊娠しなければ分泌は終わるはずなのに何故か分泌が終わらずに続いてしまう事で妊娠の兆候があらわれてしまう現象です。
さいごに
猫の妊娠は飼い主はもたろん猫にとっても大きな出来事ですので出産まで落ち着いて生活出来るように気をつけてあげましょう。
可愛い子猫を見たいからと巣の中を覗こうとする飼い主さんもいますが、猫は神経質になっているので無理に近付いたり覗き込んだりせずに、そっと見守ってあげてください。