元気よく走り回る愛犬の姿というのは、とても微笑ましいものですが
愛犬が元気に走り回る事が当たり前と考える飼い主さんは多いですよね。
それは当然と言えば当然で『犬=走る』というのは極当たり前の事ですから。
ただ、どんな事でもそうなのですが当たり前の事が出来なくなった時に初めて当たり前の事が出来る事の喜びを知ります。
元気に走り回っていた愛犬が走る事を嫌がったり、歩き方がおかしくなる事があります。
簡単に言えば運動を嫌がるようになるのですが、これは愛犬の関節や骨に何らかの異常がある時に最も見られる事です。
犬の関節や骨の異常とは?
犬の骨というのは自身の体重を支えて、内蔵を衝撃から保護する大切な役割があって人間の約200本という骨の数と比べて犬は大小の骨の合計が約300本と多いんです。
その骨と骨が繋がっている部分が関節で、この関節を動かす事で動く事が出来るんですね。
この関節は部位によって違いはあるのですが基本的には軟骨に包まれていて骨と骨の摩擦を防ぐ役割もあります。
そんな関節や骨に何らかの異常が生じた場合、犬は様々な運動を自ら制限します。
痛みによる自己制限の場合もあれば、骨や関節の変形による物理的な可動域の制限の場合もあります。
栄養性二次性上皮小体機能亢進症
栄養性二次性上皮小体機能亢進症(えいようせいにじせいじょうひしょたいきのうこうしんしょう)
何だか長い名前ですが、この病気は主に子犬に見られる病気で関節の腫れや四肢(犬の足)に変形が確認される事もあります。
痛みを伴うので体を動かす事を嫌がったり、体に触れられる事を嫌がるなどの行動が見られます。
原因は栄養のバランスと言われていて、食事もそうですが子犬の発育期に十分に日光に当たる事が出来なかった場合も発症すると言われています。
栄養面ではカルシウムが足りずに欠乏していたり、反対にタンパク質を過剰に摂取したりバランスが著しく悪い事が主な原因でしょう。
主な原因が栄養のバランスが悪い食事なので子犬の時は子犬用の栄養価の高いドッグフードを与えると十分な予防になります。
安静にさせて回復を待つのが基本です。
回復してきて運動が出来るようになってきたら
日光に当てて運動させてあげると良いです。
股関節形成不全
股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)
犬の股関節の成長が正常に進まない事で足を引きずったり、足を持ち上げて不自然に歩く跛行が起こります。
後ろ足が立たなくなる事もあって、走る時にうさぎ跳びのような恰好を見せたり座り方も独特な異常をあらわす事があります。
先天性な場合が多く生後半年くらいから症状が出てくる事が多いです。
成長していくにつれて症状は目立つようになるのですが重度になると股関節脱臼を起こしたり
そこをかばう事で他の関節に負担が掛かり違う関節の異常を引き起こす事もあります。
先天性な場合が多いと書きましたが生育環境による原因というのもあって発育の時期に栄養を過剰に摂取した事によって
体重が増加する事で股関節の軟骨に過度な負担がかかる事で十分に股関節が発達出来なくなるケースも一定数あります。
発育時の栄養のバランスというのは様々な障害を引き起こす危険な事なんですね。
改善する事が可能になります。
体重が重い場合は栄養の管理などで体重をコントロールしてあげる必要があるでしょう。
重度の場合は炎症を抑えて痛みをやわらげる事を優先します。
更に重度のケースでは手術をして人工関節にしたり骨を削るなどの外科治療が必要になります。
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レッグ・ペルテス病
この病気はハッキリとしている原因は不明で、やはり股関節に痛みを伴う病気です。
小型犬が発症しやすいといわれていて、1才までの成長期に発症するケースが多いです。
歩く際に足を持ち上げたり足を引きずるといった跛行が見られ進行すると大腿骨の変形が現れる事があります。
原因は不明な点が多いのですが血流の障害によって起こる事はわかっています。
何らかの原因による血流障害によって骨盤のくぼみにはまっている大腿骨頭へ血液が上手く供給されないので患部が壊死したり変形します。
血流障害が起こる原因については諸説あるのですが、これだという決定的な原因は見つかっていません。
安静にするために必要ならケージに犬を入れて運動を制限する事も必要な場合もあります。
大腿骨頭の壊死や変形がある場合は外科手術が必要でしょう。
関節炎
関節炎は変形性関節症とも言って、この症状は高齢の犬に多くあらわれます。
加齢によって関節の軟骨がすり減ってしまい骨同士が触れ合ってしまう事で次第に骨にトゲが出てきて痛みます。
痛みは慢性的に続くので動く事を嫌がり跛行を起こすようになります。
加齢が主な原因ではあるのですが、必ず高齢の犬にだけ起こるものではなく肥満やほかの関節の病気によって引き起こされる場合もあります。
関節に負担が増えると症状は進行しますのでフローリングなどの滑る床の上を歩かせるのは控えた方が良いでしょう。
残念ながら全治する事は困難なので消炎鎮痛剤によって痛みをやわらげたり、体重管理や筋肉の維持によって進行を抑える事が大切になります。
離断性骨軟骨症
離断性骨軟骨症(りだんせいこつなんこつしょう)は関節の骨が分離してしまう病気で大型犬に多く見られる関節の病気です。
肩関節や肘関節、膝関節に起こりやすく症状は跛行がみられます。
患部から軟骨がこるれる音が聞こえる事もあって一つの関節だけでなく同時に複数の関節に発症するケースもあります。
この病気は分離した軟骨の欠片が関節内を浮遊してします通称関節ネズミを形成する事もあります。
大型犬の成長期に起こる事が多く、関節内の軟骨の骨化が上手く進まない事で軟骨が剥がれやすくなり炎症を起こします。
遺伝性の場合もありますが、成長が急激な場合にも発症する事があります。
外科手術によって異常を起こしている軟骨を取り除いたり関節ネズミを除去します。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは椎骨(ついこつ)と椎骨の間にある軟骨『椎間板』が異常を起こして脊髄を圧迫する事で
激しい痛みを起こします。
状態によってはマヒを引き起こす事もあってダックスフンドやシーズーなどによく起こります。
椎間板ヘルニアになると歩行障害が起こり排便や排尿障害や運動障害も確認されます。
主な原因は老化や過激な運動によって椎間板が変形してしまうものです。
症状が軽い場合は抗炎症剤やステロイドの投与、レーザーでの治療を行います。
症状が重い場合は外科手術を行いますが回復には時間が掛かる事が殆どです。
さいごに
犬の関節の病気というのは放っておくと重症化していく事が多いので愛犬の歩き方がおかしいと感じたら
よく注意して観察してあげてください。
早期発見、早期治療する事で回復も十分できますし、不必要に悪化させる事がなくなります。
重症化してしまうと手術が必要になりますし全治が難しくなる事もあります。
関節を支える為のサプリメントも市販されているので積極的に摂取させてあげるのも良いかもしれません。
発症したなら早期発見に早期治療が大切ですが、一番大切なのは発症させない為の予防です。