猫にとって『ひげ』というのは、とても大切で猫の代表的な感覚器でもあります。
たくさんの神経が通っていて状況判断の手助けをしたり、さまざまな場面で猫の行動を助ける役割を持っています。
とても敏感に出来ている猫のひげには様々な機能やヒミツがいっぱいですので詳しく見ていきたいと思います。
猫の『ひげ』は高感度アンテナ?
『ひげを切られた猫はネズミをとれなくなる』と昔は言われていましたが、これは根拠のない迷信だと言い切れるものではありません。
ひげが普通にある猫とひげが欠損した猫を真っ暗な箱の中に入れると、ひげのある猫はすぐに箱から出てくる事が出来たのに対して、ひげが欠損している猫は箱に衝突してばかりでなかなか脱出する事が出来なかったという実験結果があります。
これは猫が視覚を失った時に特に興味深い現象で、例えば猫に目隠しをした場合、ひげのある猫は何日か経過すると普段と同じスピードで歩けるようになるんですが、ひげが欠損している猫は何日経ってもゆっくり歩き、壁や物にぶつかってばかりだったという実験結果もあるんです。
猫の顔をよく見てみると口の両側の目立つひげ以外にも無数のひげがあるのがわかると思います。
猫の口の両側のひげは上唇毛(じょうしんもう)と言って左右合わせて24本あるのですが、常に生えかわっているので24本全てが揃っているワケではありません。
そしてこの上唇毛はひげの先端が猫の顔を円形に取り巻いています。
猫のひげの根元には、たくさんの神経が集中しているので、ひげの先端に何か触れる事で、その情報が脳に伝わります。
この円形に取り巻くひげで狭い所を通り抜ける事が出来るのかを測定しているんです。
そして暗闇の中ではひげで空気の流れを読み取って周囲の障害物などを察知する事が出来るんです。
猫のひげは全身に生えている
猫のひげは顔だけでなく、全身に生えているんですが、特に猫の前足をよく見てみると内側にひげが数本生えている事がわかると思います。
この前足のひげは顔のひげと構造も機能も同じなんです。
この前足のひげによって足元の障害物を避けるのに役立っているんですね。
そして前足だけでなく体全体にひげが生えているんです。
猫の細かく繊細な動きというのは全身のひげのレーダーによって支えられているんです。
猫のひげは温度には鈍感?
とても高感度で高性能な猫のひげですが、その敏感さからは信じられないのですが温度にはとても鈍感なんです。
ひげの一部がストーブなどによって焦げているという姿を見た事がある飼い主さんもいると思いますが、これは猫は意外とよくやってしまう『あるある』でもあります。
というのも猫の皮膚は温度の変化には鈍感で、超がつくほど敏感なひげでも温度の変化には気付けないんです。
その為、暖房器具などに近付きすぎて、ひげがチリチリと焦げていても全く気付く事が出来ないんですね。
ひげで解る猫の気持ち!
猫のひげは高感度アンテナと書きましたが、猫のひげは猫の感情もストレートにあらわすものなんです。
あまり感情が読み取れないツンデレな印象が強い猫なんですが、実はひげを使って感情を豊かに表現しているんです。
ひげの向いている方向に気持ちがストレートに反映されているんです。
猫のひげの状態で感情が読み取れるようになれば、より猫が可愛く感じるはずですので、猫のひげと感情の関係を説明していきたいと思います。
上向きのひげは嬉しい時!
嬉しい事があったり、飼い主に褒められたりと機嫌が良い時はひげを元気に上向きにします。
愛猫がひげを上向いている時は、とても機嫌が良い時なのでたくさん構ってあげると猫は喜びますよ。
前向きのひげは好奇心いっぱいの時!
猫は何かに強く興味をひかれたり、やる気満々の時などは、ひげが前方を向くんです。
猫のひげが前を向いている時は、面白そうな何かを発見したのかもしれません。
この時の興味は警戒心を抱いているワケではなく、単純に何かに興味津々な状態です。
下向きのひげは怖い時!
猫は飼い主に叱られたり怖い思いをした時には、ひげが下向きにショボンと下がります。
悪戯をして飼い主に酷く怒られた時は大抵、ひげが下向きにショボンと下がっているので、見てみると面白いですよ。
猫のひげが下向きにショボンとしていたら反省しているんだなと思ってあげて下さい。
更にその怖い気持ちがエスカレートして恐怖のピークになると、ひげは頬にペタリと張り付いてしまいます。
猫のひげが頬に張り付いていたら怒りすぎてしまったのかもしれないですね。
また、猫は寝ていたりリラックスしている時は、ひげもリラックスしてダラーンとなっています。
猫はひげを使って豊かな感情表現をしているので、猫とより仲良くなるには、ひげの動きを読み取るのが一番の近道なのかもしれません。
猫の『ひげ』まとめ
猫のひげはとても精密な高感度アンテナですので、もしもひげがなくなってしまえば一大事です。
大袈裟ではなく、猫のひげが全て失われた場合は猫は歩けなくなるでしょう。
それだけ猫にとってのひげというのは生命線なんですね。
時々飼い猫のひげが抜ける事を心配する飼い主さんもいますが、基本的に猫のひげは常に生えかわりを繰り返しているので、1本や2本抜けるのは問題ありません。
むしろ、それが普通です。
爪を切るように、ひげを切って整えようとする方もいますが絶対にやめておきましょう。
下手に猫のひげに手を加えると高感度なセンサーを壊してしまう事になりますので。